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Ⅰ 設立趣意書

​1.趣旨

本県には、かつて、人々の経済行為と共存して育まれてきた二次的な自然とそこに生息する多様で豊かな生物相がありました。しかし、グローバル化した経済発展によって、生活様式の変化とともに人口集中や都市化が進み、同時に資源やエネルギーの大量消費が行なれるようになりました。これは、私たちの生活をより便利にしましたが、一方で、都市周辺では宅地開発が進んだほか、砂浜や岩場を持った自然海岸は減少し、近隣の里山は手入れ不足に加え竹林や松くい虫被害が拡大し、管理が行き届かない農地やため池が目立ち始めるなど、身近な自然環境も大きく変貌してきています。また、カワウやカラス、あるいはイノシシやニホンジカといった野生鳥獣と人との軋轢が増大しているだけでなく、かつては普通に見られたメダカやトノサマガエルなどがいたるところで姿を消すなど生物多様性の劣化や消失が続いています。さらには、様々な外来種が侵入し、もともと日本に生息していた固有種や在来種を脅かすといった問題にも直面しています。残念なことに、これらの傾向はとどまるどころか今も悪化の一途をたどっているのが私たちのすむ香川の現状なのです。

 

私たちは健全で恵み豊かな自然や環境の下に、健康で文化的な生活を営む権利をもっています。それと同時に、その自然や環境を十分に守り育て将来の世代に引き継ぐ責務があると考えます。わが国では、日本の歴史の中で生まれ育まれ今日まで守り伝えられてきた貴重な国民的財産である神社仏閣あるいは絵画・陶器などを「文化財」と位置づけ、その保存や整備・活用に努めています。それは、「文化財」が日本の歴史や文化などの正しい理解や将来の文化の向上発展の基礎をなすからです。これと同じように、私たちは日本の自然を「自然環境財」であると考えます。自然環境への正しい理解と将来にわたっての自然と人との関係を考える基礎として「自然環境財」を次世代に引き継いでいく責務があるのです。

 

本来、このような自然と人との関係を考えるセンター機能は、地域の自然史博物館が担っていますが、残念ながら本県には自然史博物館はありません。しかし、幸いにして、生物・地学などの各分野の専門家が活動し、あるいは種々の教育・研究機関や自然保護活動団体、そして自然保護に関心のある多くの企業や県民がいます。私たち県民と企業・行政といった多様な主体がネットワークを形成し、それぞれが現在持っている知識や労力あるいは時間や財源などといった有形・無形の資源を持ち寄り連携することができれば、本県の自然の理解とその保護活動を支え推進するという自然史博物館の果たす働きをまずはつくり上げていくことができるのではないでしょうか。

本県の身近で豊かな自然を見直し、その意味を考え、生物多様性の状況把握やその保全・保護活動を行うとともに、自然と人とのより良い関係づくりを目指して、また、将来の世代へ「自然環境財」を受け渡していく架け橋として、本県の自然に関するセンター的な役割を担うために、「特定非営利活動法人みんなでつくる自然史博物館・香川」を設立するものです。

2.申請に至るまでの経過

「みんなでつくる自然史博物館・香川」は平成20年6月に任意団体として設立され、香川県みどり保全課が事務局となり、企画展や各種講座を毎年実施してきた。平成26年8月から事務局の移転を行うとともに、新規に1名の事務局員を雇用し、事務局の機能強化を図ってきました。

これまで、その自主性を高めてきた組織をさらに確かなものとするため、組織の体制整備を進め、「特定非営利活動法人みんなでつくる自然史博物館・香川」を設立し、県や他の団体と政策連携を行い、一層、本県の自然に関するセンター的な役割を充実したいと考えています。

平成26年11月29日

特定非営利活動法人みんなでつくる自然史博物館・香川

設立代表者 金子  之史 

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